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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科4巻1号

1950年01月発行

文献概要

臨床実驗

フカラ手術の経驗

著者: 庄司義治1

所属機関: 1東大眼科

ページ範囲:P.32 - P.33

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 Holthは網膜剥離の治療の目的で眼球の赤道部に近く鞏膜をトレパンを用いて切除したところ眼の屈折が減ずることを知り,剥離なき近視眼に其方法を用いてTrepanatis Sclerae prae-ae—quatorialisと名づけてハイデベルグ学会(1911)に報告した.山森昭君は細刀を用いて鞏膜の一部を切除し縫合することによつて屈折を減少せしめ得ることを経驗した.併し之等の方法は今日殆んど行われて居らないし,又強度の近視の屈折を充分に減少せしめる程の力はない,此目的のために行われる手術はフカラ(Fukala)の手術である.
 白内障が強い近視に起つた時に白内障手術を行つて無水晶体眼になると眼鏡なしに,或は弱い眼鏡でよく見える事は古くから知られて居つた事であるが.強度の近視の治療の目的で透明なる水晶体を摘出する事を実行したのはAbee Desmonceaux (1776)が始めてであると云われて居る.其後之を迫試した人も2-3あつたが余り省みられなかつた.然るにフカラが19例の手術例を1890年に発表してからにわかに有名となり,今日に至るまでフカラ手術と呼ばれて居る.日本では河本重次郎先生が日本眼科学会雑誌第2巻(明治31年)に「私が明治23年(1890)に一商人に行つたのが最初の例であろう」と述べている.フカラの報告と同年の話になる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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