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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科4巻1号

1950年01月発行

文献概要

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避妊藥というもの

著者: 杉靖三郞1

所属機関: 1診療室

ページ範囲:P.35 - P.35

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 この春始めて避妊藥が公認された時は7種であつたそれが現在では40種にもなつている.中には「有害無益」どころか「無効有害」なものが流れ出している事が考えられる.もともとこの藥といふものがどんな化合成分を持つ殺菌剤を含有していてもその溶媒や賦形藥がよくなくては何にもならぬ現在の我國では最良の避妊藥はのぞめないわけである.又これが使用法も解剖生理の知識が充分になければいけないし家屋の構造も我國のでは充分の事はのぞめない.それにまだ日が淺くかかる事に一般が習熟していない.あらゆる條件が最もよいアメリカの有効率の統計を見ても次の樣である.ニユーヨークのインテリの婦人が用いた場合は受胎率が普通の場合の6分ノ1になり.プエトリコ1婦人では受胎率が3分ノ1であつた.これから見ても避妊藥の効果は絶対的のものでははるかにない.これから考えて我國の藥の惡い家屋構造の惡い知識のない習熟しない現状ではこのアメリカの例より考えて受胎率が2分ノ1になつたらよい方であろう.
 このように避妊藥を使つてもそれだけ直ちに産兒を減らすといふ結果にはならない.それにたよれば避妊藥が使われてかえつて子供がふえる危險が充分である.いずれ本年度の出産率がこの事をはつきり示してくれるであらう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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