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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科4巻10号

1950年10月発行

文献概要

私の經驗

老眼鏡を眼から離すことによる度の變化

著者: 今井晴一1

所属機関: 1京都府立医大眼科

ページ範囲:P.434 - P.435

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 老人が眼鏡を鼻の先にかけて読書して居るのは,老眼鏡の度を強めるためであるとして,從來説明せられて來たが,石原は之を訂正して,老眼鏡を眼から離すことは一般に度を弱める事になると書いて居る.此の記載は中村の眼鏡学にも採用せられ,そこには計算による証明が行われて居る.石原の指摘した樣な誤が通用し來つた原因は,遠視眼では,凸レンズを眼から遠ざける事によつて,その度が強くなると云う事が,その儘近用眼鏡にも應用せられた点にあると思われる.レンズの凹凸の如何を問わず,眼鏡の度は,遠点とレンズとの距離の逆数に相等するから,遠視眼者の遠用眼鏡に於ては,レンズを眼から遠ざけると,遠点と眼鏡との距離は大きくなるから,同一レンズであるならば,眼から遠ざける時は,もとの位置により強い度の凸レンズを裝用したのと,同じ作用をする.即ち度が強くなると云う事は正しい.近視眼鏡レンズでは勿論其の逆の事が起る.
 近用眼鏡では,正視眼で且つ無調節の状態である場合には,レンズの度は物点と眼鏡との距離の逆数で表わされるから,レンズを眼から離し,從つてレンズと物点との距離が短くなれば,強い度のレンズを必要とし,同一レンズであるならば度が弱くなる事は,極めて了解し易い事で,中村の眼鏡学にも此の樣に説明せられて居る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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