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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科4巻2号

1950年02月発行

雑誌目次

座談會

ペニシリンの實際的使用法(其の2)

著者: 桑原安治 ,   桐沢長德 ,   中村康 ,   中泉行正

ページ範囲:P.45 - P.51

ペニシリン適應症--眼瞼
 中泉今度は病氣の方のことを伺いしましよう.どういう樣なものが,ペニシリン治療の対象になるかという樣な問題から.
 桐澤今度は桑原君の方から一つ…….

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醫療法第47條の病院,診療所の取扱に就て

ページ範囲:P.51 - P.51

 医療法第47條の病院並びに診療所の病床増減について佐賀縣知事と厚生省医務局長との間に質疑應答された全文は次の通りで参考のため茲に照会する.

傳染性疾患の防遏(その1)—新生兒急性傳染性結膜炎(トラホームを除く)

ページ範囲:P.65 - P.65

 1.本病の認知片眼又は兩眼結膜の急性發赤腫脹があつて化膿性排出物を伴う.
 2.病原體淋菌又はヘモグロビン嗜好性菌及び濾過性病原體等を吟む前記以外數種の病原菌

傳染性疾患の防遏(その2)—トラコーマTrachoma

ページ範囲:P.81 - P.81

 1.本病の認知 本病は結膜の破壊性慢性炎衝で乳嘴状又は濾胞性の肉芽を形成績いて瘢痕となり眼瞼部の變形を招來.角膜にも病變が及ぶ.結膜分泌物並に結膜削掻塗抹標本顯微鏡檢査は診斷の補助とはならぬが他種の感染をこの結果によつて除外することにより診断上の參考となる.
 2.病原體一種の濾過性病原體.

醫師の行政處分と診療所開設者の解釋

ページ範囲:P.84 - P.84

 医師の行政処分及び診療所の開設者の解釈について青森縣衞生部長と厚生省医務局長との間に照覆された全文は次の通りである.

保險のしをり—社会保險診療質疑應答集(其の2)

ページ範囲:P.86 - P.87

 此の質疑應答集は社会保險診療報酬中央審議会委員の内海榮博士の御好意による神奈川縣医師会の應答集であります.ここに同博士の御好意を厚く感謝致します.

症例集(昭和24年1月)目次

ページ範囲:P.87 - P.87

〔解説〕
症例集の内容で興味を引いた
数々について…………………中村 康…(1)

綜説

人結膜血管の生体顯微鏡像

著者: 國友昇

ページ範囲:P.52 - P.55

 私は石原先生の医局に入つて間もなく森永先生から細隙燈の使用法を教えられた時,甚だ興味を感じた.細隙燈で最も見易いのは角膜と結膜の血管である.見ると難なく見える.然しこの両者共に容易に見得るだけ夫で以上には進歩しない.少く共,人より良く見てやろうと思えば物を考えながら絶対多数例を経驗しなければならない.之は角膜に就ても血管に就ても同樣である.初め血管を見ていた頃には動脹と靜脈の区別もつかず,且大小の血管が文字通り錯綜しているので何が何だか解らなかつた.こう云う日が何十日と続いたが少しづつ進歩して行くのが自分でも解つた.今見ると実に秩序整然とした規則正しい分布をしているのにどうして之を当初錯綜だなどと云つたのか不思議に思われる.当初見た時と今見る時との網膜に於ける像は決して大差なかつた譯であるから其の差は胸視(?)の差に因るものとしか考えられない.

青少年期の結膜濾胞症

著者: 福島義一

ページ範囲:P.56 - P.58

 從來の我國に於ける結膜濾胞症の研究業績を回顧するに,トラコーマ研究の副産物として,換言すればトラコーマとの関連性の有無という立場から遂行せられたものが多い樣である.
 実際嚴密な意味に於て,トラコーマは現在に於ても尚ほ症候名の域を脱せず,特に,比較的初期の病機に在る青少年期のトラコーマを診定するに当つては,多くの疑似症を考慮しなければならぬ.

臨床實驗

視力の累加

著者: 小島克

ページ範囲:P.58 - P.59

 試視力表で,3米から10米迄1米毎に視力を測り視力累加の状況を調べた.(表中,○は累加なきもの,+は累加あるもの,一は片眼視が優るもの).
 中島氏表・各視距離での平均視力からみると「仮名」では7米(0.24)9米(0.16)が目立つ程度であり,「ラ」環では,累加が目立ち6〜9米間が0.2程度である.但10米では両者共に0.1に達しない.内容的にみると,仮名では,7〜8米では,0と+が相半ばし,9〜10米では累加が増す(84〜50%).ラ環では,7〜8米で+が増し9〜10米では累加と—がみられる.3〜10米を通じ0-24>+13>−3である.5米からでは0=+>—である.ラ環では019>+16>−5となり5米からは0<+>—で,距離が遠くなると累加側に傾く.—が8米辺からでてくるのも注目すべきである.

5米視力と10米視力

著者: 小島克

ページ範囲:P.59 - P.60

 試視力表で,5米視力が10米視力の2倍に近いか否かを調べてみた.
 中島氏表.5米視力平均2.0,10米視力平均1.2の材料.此の平均は,仮名では1.688±0.43(α=0.01)ラ環では,5米視力平均2.0,10米視力平均0.94の材料となるが,2.36±1.12(α=0.05)である.前者は1%,後者は5%の危險率で比2の標本といえる.以上は兩眼視力である.片眼視力では,仮名(5米視力平均2.0〜10米視力平均1.06)は1.9±0.43(α=0.05),ラ環では,(5米視力平均2.0〜10米視力平均0.98なる)2.07±0.34(α=0.05)となる.乃ち,5%危險率で比2の標本といえる.

精密試視力表に於ける5米視力と10米視力

著者: 小島克

ページ範囲:P.60 - P.61

 中島氏精密試視力表に就いて5米視力と10米視力の比について調べてみた.
 兩眼視力.仮名.5米視力3.0〜2.4の14例.5米視力平均2.8〜10米視力平均1.19となるが,この材料でに,比の平均2.52±0.32,u20.3049(Fo<:F17.81,0.1%点)となる.ラ環.同一被檢群で5米視力3.0〜1.7の材料となり,5米視力平均2.7〜10米視力平均1.22となるが,比の平均2.41±0.34,u2=0.339S,(Fo<F9.07点)をうる.

角膜周擁毛細血管のTonusに就て

著者: 呉基福

ページ範囲:P.62 - P.65

第1章 緒言
 血管筋を有しない毛細血管はよく收縮し,よく拡張する事は衆知の事実である.しかしながら毛細血管の運動は血管運動神経によるものであるか,或いはRougetzellenによるものであるか,或いは血管壁自身によるものであるか,又毛細血管に対する血管運動神経の支配状態は如何なるものであるか,等の諸点に関しては尚不明なる点が多い.殊に人体毛細血管の此等諸点に関する研究報告は極めて少ない.
 私は諸種藥剤の点眼によつて角膜周擁毛細血管のTonusを変化せしめ,此れを細隙燈顯微鏡を用いて観察し,其の結果を得たので茲に報告する.

先天性全色盲眼に於ける円錐體機能缺除説に對する疑義

著者: 川端義雄

ページ範囲:P.66 - P.68

緒言
 先天性全色盲はKollner (1929)に依れば40萬人に1人と言う極めて稀な頻度を有し,血族結婚の両親を持つもの多き事実と,從來の報告に依り近親中に部分色盲あるものなく,劣性遺傳の特微を示し部分色盲とは遺傳形式を異にするものであると考えられ,Galezowski (1868)が本患者は円柱体視をなすものであると唱えて以來,円錐体機能欠除説が通常の考えとして通用して今日に到り,本患者に必発の羞明,眼球振盪等の諸症状等が斯かる仮説に依つて解明されて來たのであるが,最近私は本患者の諸檢索を行い,円錐体機能欠除説に疑義を抱くに到つたので此処に報告する.

角膜扁平上皮癌の1例

著者: 關亮

ページ範囲:P.68 - P.70

 角膜及び球結膜に於ける癌腫は瞼裂部の角膜輪部より発生する事が最も多い樣であるが,私も右眼耳側輪部より発生主として角膜を瞳孔領に向つて進行したと思われる扁平上皮癌の1例に遭遇したので報告したい.

國産品ホモアトロピン(田邊)の作用に就て

著者: 春田長三郞 ,   古味敏彦

ページ範囲:P.70 - P.71

 田辺製藥に於て新たに合成された,ホモアトロピンを入手したので,これの人眼に対する散瞳作用と,調節麻痺作用等に就て実驗し,在來の輸入品ホモアトロピンとの比較を試みた.
 被檢者はC.H.及びT.K.で,共に両眼共視力1.2の健常眼である.但しC.H.の右眼は,0.5デオプトリーの近視である.

大腸菌毒素の家兎大槽内注入による視神經交叉部附近蜘網膜及び視神經のアレルギー性変化に就て

著者: 赤松二郞

ページ範囲:P.72 - P.73

第1章 緒論
 我々はさきに家兎大槽内に最新ツベルクリンを反復注入する事によつて交叉部附近蜘網膜及び視神経にアレルギー性炎症を起す事を証明した.更に我々は大腸菌毒素によつても蜘網膜及び視神経にアレルギー性変化を起し得たので茲に報告する.

山羊の半溶血或は赤血球の家兎大槽内反復注入による視神經交叉部附近蜘網膜及び視神經のアレルギー性変化に就て—〔附〕球外視神経炎の原因としてのアレルギー性網膜炎の意義

著者: 赤松二郞

ページ範囲:P.74 - P.78

第1章 緒論
 我々の臨床に於てはかねてより視神経交叉部附近蜘網膜の変化が視神経の変化特に其の機能障碍の原因になるか否かに就て実驗的研究を試みて來た.而して我々はさきに最新ツベルクリン或は大腸菌毒素を家兎大槽内に反復注入する事によの交叉部附近蜘網膜にアレルギー性変化が起り同時に視神経にも中隔組織の炎症と共に神経纎維のMarchi変性が起る事を証明した.本報に於ては更に家兎大槽内に山羊の半溶血或は赤血球等を反復注入する事により交叉部附近蜘網膜及び視神経にアレルギー性反應を起す事が出來たので茲に報告する.

全身疲勞の視機能に及ぼす影響—(第1報 近点の変化)

著者: 大槻弘右

ページ範囲:P.78 - P.81

第1章 緒言
 全身疲労時に感覚器系統の鈍麻に基く災害の発生が屡々惹起される点や,閃光融合閾法が疲労判定指標として相当注目すべき成績を挙げている事実から感覚器系統が全身疲労と密接な関係にある事は充分察知し得られる所である.
 バウルは種々なる條件に於ける兒童の疲労に就き,シヤイネル法を以て近点を測定し疲労時の近点近接説を唱えた.之に対し三木は肉体労働による全身疲労時その一部現象として毛樣筋の疲労により近点の延隔を來すと述べている.故に私は先づ全身疲労の近点に及ぼす影響を探求したのである.

臨床講義

スボンヂボールに依る眼外傷—〔附〕濃厚な硝子体混濁に対する新療法

著者: 倉知與志 ,   奥村誠

ページ範囲:P.82 - P.84

 近來野球熱の勃興と共に,スポンデボールに依る眼科傷を屡々見るので,その例を供覽し,併せてこの患者に行つた硝子休混濁の新治療法に就いて述べたいと思う.
 症例患者は20歳の男.生徒.

手術メモ・9

瞼球癒着手術

著者: 中村康

ページ範囲:P.85 - P.86

 瞼球癒着は瘡痕期トラコーマに多い.此で手術を必要とする例は勘い.火傷,腐蝕,外傷等に伴い起つたものが手術の対象になる.從つて其癒着範囲が廣いので此処に述べる手術の方式では整形完全でない.此には後に掲載する眼瞼皮膚整形手術の何れかを同時に施術する必要にせまられる.此と彼とを合せて手術方法の考案をする事を望む.

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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