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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科4巻7号

1950年07月発行

雑誌目次

綜説

僞近視の問題

著者: 藤山英壽

ページ範囲:P.267 - P.270

 僞近視について一般的記載を行い,併せて我々の行つた調査の一端を申述べて見たいと思う.
 この問題は古來学者間に於いて種々論議されて來たものであるが,古いものでは,Hessの記載に依ると,Stockerが調査学童の5%に調節痙攣があると発表している(Gr.S.Handb.VIII2 S.263).又Schmidt-Rimpler教室Arch.f.O.G.XXXI, XXXII, XXXV(1885,1886,1889年)その他に於いて屡々この問題について発表を行い,調節痙攣は小学童の30%にも及ぶと言つているのである.

眼科醫の知識

診療科別状況

ページ範囲:P.270 - P.270

小兒の藥用量

ページ範囲:P.276 - P.276

 患者の満年の半分の数字の上えポイントをつけた数字が大人1瓦服用の藥の小兒藥量です.即2歳の兒は0.1.4歳の兒は0.2です.お暇の時ヤングなりガビウスなりに御比較願ひます.

結核化學療法の現況

著者: 北本治

ページ範囲:P.296 - P.296

 現在実際使用上問題になるのはマトレプトマィシンとダイハイドロストレプトマイシン及パラアミノサリチル酸(パス)である.パスは簡單の構造のもので近時我國でも製造せられ1日9〜10瓦の大量を分4又は分5に内服する.
(1)結核性脳膜炎 現在の所ストレプトマイシンとプロミンの併用が最良とされてゐる.右両者を併用すれば小兒では約60%に治癒を期待出來るが大人の成績は劣る.プロミンは癩の爲に現在では一般市販になり難い.又は1日1瓦分2囘の筋注と50〜100瓱の髓腔内注人を行ふ.筋注は連日髓腔内は始め連日後間隔を延してゆく.

都道府縣別眼科標榜医

ページ範囲:P.302 - P.302

北海道 81青森 32

臨床実驗

硝子體鐵片異物剔出例の經過について

著者: 林誠

ページ範囲:P.271 - P.274

 私は最近硝子体鉄片異物の1例に遭遇しこれを手持電磁石によつて剔出したが経過上やや興味のある1例を経驗し,その経過を観察したので報告します.

耳前淋巴節に轉移を來した瞼板腺癌の1例

著者: 林生

ページ範囲:P.275 - P.276

Ⅰ緒言
 瞼板腫瘍に関して欧米に於いてはFuchs, Saffler,Scheerer等多数の報告例有り,我國に於いては河本(軍)氏により初めて報告されているが然し瞼板腺より発し而も轉移を來せる例は比較的稀な様で有る.余は最近瞼板腺を原発竈として患側耳前淋巴節に轉移を來した瞼板腺癌の1例に遭遇したので茲に報告する.

目測の信頼限界

著者: 金藤峰子

ページ範囲:P.277 - P.280

緒言
 目測は計測の基本をなすものであり,我々の日常の計測に於いて屡々行われているものであるが,これに関する眼科方面の関心は極めて薄い.で私は此の目測の基本問題であるその信頼限界及び其の他について実驗を試みた.

腸チフス豫防接種後に起つた結膜下炎の1例

著者: 柴田正元

ページ範囲:P.281 - P.281

 腸チフスの予防注射に因る種々の眼障害は既に報告されて居るが,私は最近從來の接種方法と違いワクチンの皮内接種後両眼に結膜下炎を惹起した例を経驗したので追加し度いと思う.

胎兒眼球網膜発育の過程に就て

著者: 中村康

ページ範囲:P.282 - P.287

 〔成人網膜〕網膜の構造を見ると眼胞の内板と外板とから出來る部分が異るを知る.
 内板は次の三つの組成をもつ.支柱纎維,神経細胞,視細胞である.

特發性葡萄膜炎の組織學的所見に就て

著者: 伊佐敷康政

ページ範囲:P.288 - P.290

 特発性葡萄膜炎については本邦に於いても既に多数の報告がある.而して之が組織学的所見と交感性眼炎のそれとの異同論は甚だ興味深いが未だ確定に至つていない.私は最近Vogt小柳氏型と認められる1例に遭遇し,その一眼の虹彩の組織学的所見を観察する機会を得たので茲に報告する次第である.

角膜異物除去後に發生した角膜輪状膿瘍の3例

著者: 池田一三 ,   松下和夫 ,   大草三郞

ページ範囲:P.291 - P.294

緒言
 私共は昨夏何れもある眼科医の許で,角膜異物の診断の下に異物の除去を受け,当日より激しい眼痛を訴え,翌日或いは翌々日早くも完全な角膜輪状膿瘍の症状を呈せる例を経驗した.この事実から私共は眼科医が日常屡々行う角膜異物除去の結果として,重篤なる角膜輪状膿瘍を発生しうることを認め,もし然りとすれば,眼科医たるものは角膜異物除去という簡單なる手技の施行に当つても,消毒その他に万全を期する必要が痛切に感ぜられるので,これらの患者に試みた2-3の新治療法と共に,ここに報告して大方諸賢の御参考に供したいと思う.

脊髓癆性視神經萎縮症の予後と治療に就て

著者: 高橋益夫

ページ範囲:P.295 - P.296

 脊髓癆の予後,少くとも生命に関する予後は恐るるに足りない.排尿障碍,運動失調などがあつても,麻痺性痴呆を合併しない限り,智力,判断力は侵されないから比較的仕事が出來る.所が之に由る視神経萎縮は我々眼科医の比較的屡々遭遇するものであるが,視力に関する限り時期を失すると効が無く,患者に対して氣の毒でならない.試みに米國の統計を借りると次の如くである.即ち.Wills病院の117例,Johns Hopkins病院の132例,計249例の非治療梅毒性視神経萎縮症の予後は,完全なる両眼の盲は症状発現後,3年以内に90%,稀な例では進行の徐々なる場合もあるがそれでも9年の終りには盲となると.Hurlinの研究によると,米國には1000人に1.75の割に盲人が居り,其の中で,10〜15%は梅毒に基因し,此の割合から23000〜34500の之に由る人の存することが判る.此の梅毒に由來するものの中,90%は先天性或いは後天梅毒に因する視神経萎縮症である.Mooreに50,000の原発性視神経萎縮が存在するとし,又成人の10%が梅毒に罹患し,その中,非治療及び不充分なる治療によつて5%が,脊髓癆に発展すると仮定すると50万人に及んで由々しき事であると,JosephV.Klauderは述べて居る.

保險のしをり

義眼その他の保險給付

ページ範囲:P.280 - P.280

 〔問〕健康保險に於て義眼の給與を認めると聞くも,國民健康保險でも同樣なりや,認めるとせばその請求点数は如何なりや,また既存の義眼を破損した場合も給與を認めるや.
 〔答〕健康保險に於ては義眼は被保險者は貸與する形式で支給することになつている.貸與と云つても実際上は義眼作製に要した費を被保險者に療養費として支給することになるから,点数として医師の請求するものではない.被保險者から療養費支給申請を保險者に提出して,その認定によつて支給される.次に國民健康保險に於ては組合規約によつて給付範囲がきめられるから,必ずしも同樣とは云われない.

健康保險の眼科處置料

ページ範囲:P.287 - P.287

 〔問〕卷軸帶を必要とする場合は「卷軸帶を必要とする処置3点」に「イ」又は「ロ」を加算して差支えないか.
 〔答〕妥当でない.卷軸帶を必要とする処置は,洗眼点眼の処置と卷軸帶使用を含んだものであるから,「イ」又は「ロ」を加算することは違法である.卷軸帶の價格が所定点数の以上になる場合は,特殊計算によることが出來る.

これからの保健所

著者: 木村與一

ページ範囲:P.290 - P.290

 保健所は担当地城内の一切の公衆衛生問題について責任を負うています.
(A)傳染病結核性病その他傳染性疾患の予防傳染病予防法,性病予防法,傳染病屈出規則によつて35種類の傳染性疾患が保健所え屈出られます.

臨床講義

網膜色素變性症,特にその頸動脈毬X線照射療法

著者: 三國政吉 ,   黄秀根

ページ範囲:P.297 - P.299

 〔患者〕高○モ○,36歳,官吏の妻.
 〔初診〕昭和23年8月4日.

私の經驗

青年反復性網膜硝子體出血に對するレントゲン療法に就て

著者: 生井浩

ページ範囲:P.301 - P.302

 私は綜合眼科雜誌第39卷(昭和19年,1944)の誌上に於いて,青年反復性網膜硝子体出血の出血機轉に就いて論じ,本症に見る再三反復して発來する出血は,本病の経過中,網膜及び硝子体内に発生する新生毛細管よりの出血が主たるものであることを指摘した.そして此の新生毛細血管の発生機轉として次の事項を挙げた.
1)結核性網膜血管炎が発生すると,其の血管の内皮細胞が増殖して血管の破裂に対抗しようとする.そして血管内腔は狭窄され,遂には増殖内皮細胞や浸潤細胞で血管が閉寒されるようになる.このようにして血液の循環が障害される結果,其の血管周囲の網膜,更に硝子体中にも多数の毛細血管が新生され,それ等が互に吻合して側行枝を形成するようになる.

外文抄録

瑞西篇/伊太利篇

ページ範囲:P.303 - P.304

 之はZeitschrift fur Augenheilkundeの改名したOphthalmologicaが出ている.此の雜誌は戰時中も継続して発行されている.1ケ年2卷であつて1卷凡400頁位のやうである.

手術メモ・ⅩⅣ

開眼手術(其3)白内障手術

著者: 中村康

ページ範囲:P.305 - P.308

 白内障手術は,眼科方面で最も興味を以つて行われる手術の一つで,從つて眼科医は各自一家言を有する.何れにしても失明したものを,再び視力を得せしめるもの故,医家の行う起死囘生の最高手術である.それだけに手術の失敗即ち完全失明に到らしめる事は,人生の一大痛痕事である.從つて此の手術に際しては,愼重な態度を以つて接するのである.続発症として,最も恐れられたものは,術後化膿であるが,私の経驗では,普通はマーキユロクローム水点眼に依り,殆んど其の恐れをなくしたが,ペニシリン液の時間点眼は,慢性涙嚢炎の存在する場合も,亦全く術後化膿を招く事がなくなつた.從つて私共は,普通完全な消毒の上にも愼重を期してペニシリン液結膜嚢内点眼と,更にスルフオンアミツド剤内服に依つて,化膿を見る事がなくなつた事は喜ばしい.

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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