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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻1号

1986年01月発行

文献概要

臨床報告

先天性網膜分離症における硝子体手術の1例

著者: 三宅養三1 近藤俊1

所属機関: 1名古屋大学医学部眼科

ページ範囲:P.46 - P.48

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 強い硝子体出血を伴った先天性網膜分離症で出血の自然吸収が見られなかったため,硝子体切除を行った症例を報告した.
 耳側に見られた胞状の網膜分離部に内層裂孔が存在し,その部の網膜血管の一部はbridge状となっており,網膜分離部に網膜硝子体癒着が見られることが術中に判明した.硝子体出血がこの部の血管の破綻により生じたものと思われ,硝子体牽引を十分に除去した.しかし術後1年以上を経て再び硝子体出血が生じ,これはすぐに自然吸収された.硝子体牽引は除かれたはずであるから,今回の出血の主因は内層裂孔の形成,あるいは拡大による血管破綻が考えられ,出血を生じたと思われる網膜血管をアルゴンレーザーにより閉塞させ,その後再出血を見ない.
 本症では,硝子体出血や網膜剥離など硝子体手術の適応になりうる合併症が多く見られるにもかかわらず,硝子体手術の報告はほとんどない.硝子体切除中に得た我々の経験を述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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