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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻10号

1986年10月発行

文献概要

臨床報告

CTスキャンにより診断されたtrilateral retinoblastoma三側性網膜芽細胞腫の症例

著者: 高橋寛二1 板垣隆1 西村哲哉1 宇山昌延1 安田敬済2 山内康雄2 糸田川誠也

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室 2関西医科大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.1157 - P.1161

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 両眼性網膜芽細胞腫に松果体腫瘍を合併した1例を経験した.症例は9カ月の女児で左眼の白色瞳孔を主訴として来院し,左眼は腫瘍が眼内に充満し,眼球摘出によって組織学的に網膜芽細胞腫であることが確認された.右眼は網膜後極部に5乳頭径の腫瘤1個,赤道部に1乳頭径の腫瘤2個が見られる多中心性腫瘍であり,保存療法(放射線療法,光凝固療法)を行って瘢痕化に成功している.脳CTにて松果体領域に異常な石灰沈着とenhancementにより増強される松果体腫瘍と思われる病変を認めた.松果体腫瘍には放射線療法を行い,増大を見ずに1年間経過観察中である.右眼および全身的に他の再発転移の徴候はなく松果体腫瘍は松果体原発のものと思われた.松果体腫瘍の組織学的証明はないが,臨床的に本症は両眼の網膜芽細胞腫に松果体腫瘍を合併したtrilateral retinoblastoma三側性網膜芽細胞腫と診断され,きわめて珍しい症例であった.本症の診断には脳CTが必須の検査であり,両眼性網膜芽細胞腫患者をみたとき,ならびに経過観察中には両者の合併に注意すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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