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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻11号

1986年11月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

眼内レンズ滅菌用エチレンオキサイドガス残留によると思われた無菌性前眼部炎症特に前房蓄膿性虹彩炎について

著者: 清水昊幸1 大原國俊1 沢充1

所属機関: 1自治医科大学

ページ範囲:P.1219 - P.1225

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 後房眼内レンズ(IOL)の治験で2例の無菌性前房蓄膿虹彩炎を経験した.原因はIOLの滅菌に用いたエチレンオキサイド(EO)ガスが高濃度にIOLに付着残留していたためと考えられた.炎症の特徴は,術後1〜2日で発症し,眼内レンズを包む厚いフィブリン膜が形成され,前房中に多数の細胞遊出を認め,蓄膿を形成するにもかかわらず前房水の蛋白濃度は比較的低く,温流も認められることである.治療はステロイドの投与と強力な散瞳が有効で,翌日には蓄膿は消失し,炎症は軽減した.第2例に移植した眼内レンズと同一ロットの2枚の眼内レンズにつきEO濃度を測定したところ,それぞれ39ppm,45ppmの値が得られた.高EO値のIOLは前房蓄膿性虹彩炎の他にも眼内レンズ表面へのフィブリン析出など種々の合併症を起こしうるので,注意が肝要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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