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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻11号

1986年11月発行

文献概要

臨床報告

高度遠視の真正小眼球症Nanophthalmosに伴うuveal effusionの手術による治療

著者: 湖崎淳1 本間哲1 宇山昌延1 福田富司男

所属機関: 1関西医科大学

ページ範囲:P.1236 - P.1238

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 両眼とも+14Dの高度遠視で,眼軸長18mmのnanophthalmos (真正小眼球症)の27歳の女性に,全周に脈絡膜剥離を伴う高度の胞状の網膜剥離が発生し,uveal effusionと診断された.片眼は他院で数度の網膜剥離手術をうけていたが難治であった.
 この両眼に赤道部で4直筋の下のみを除いて全周の強膜に幅4mm,厚さ4分の3層の輪状の層状強膜切除と,その底部にほぼ2mm径の全層強膜切除による開窓を行った.
 術後uveal effusionは翌日より吸収傾向を示し,脈絡膜剥離は数週間で速やかに吸収され,半年後には網膜は完全復位した.
 手術中強膜は厚く硬かったので,真正小眼球症におけるuveal effusion の発生は眼内液の強膜を通る眼外への流出障害によると思われた.
 nanophthalmosに伴うuveal effusion に対して,強膜の輪状層状切除術と強膜開窓術は有効な治療法であり,渦静脈減圧術は必要ないと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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