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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻12号

1986年12月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

網脈絡膜悪性リンパ腫の臨床像

著者: 瀬口次郎1 松尾信彦1 小山鉄郎1 政岡史子1 藤原由延1 中山正2

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室 2岡山赤十字病院眼科

ページ範囲:P.1313 - P.1319

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 ぶどう膜炎症状を呈し,網脈絡膜悪性リンパ腫と考えられた4例7眼(男性1例・女性3例,年齢55歳から70歳)を経験した.3例5眼に軽度の虹彩毛様体炎,1例2眼に著明な硝子体混濁,4例7眼の眼底に軽度に隆起した黄白色滲出斑様病巣が認められた.初診時,全身的に異常のみられた症例はなかった.これらに対してステロイドは無効であり,放射線照射,レーザー光凝固が有効であった.しかし中枢神経症状,全身症状の発現とともにぶどう膜炎症状の再燃がみられ,最終的には3例が初診より5カ月から3年5カ月後に死亡した.うち1例は中枢神経系悪性リンパ腫を発症後死亡,剖検を施行し,中枢神経,両側肺,胃,肝臓,左副腎および網脈絡膜にびまん性,大細胞型悪性リンパ腫細胞の浸潤が確認された.
 今回の症例より本症の経過は,急性期,消退期,再燃・眼外発症期に分けられ,臨床的に眼球内にも悪性リンパ腫は初発しうると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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