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連載 眼科図譜・340
膠原病の強角膜穿孔に対する周辺部表層角膜移植
著者: 大路正人1 切通彰1 木下茂1
所属機関: 1大阪労災病院
ページ範囲:P.202 - P.203
文献購入ページに移動症例 13歳の女性で6年前よりWeber-Christian病の診断にて某病院眼科および小児科で経過観察されていた.1980年頃より時々結膜の充血がおこり,強膜炎の診断を受けていた.1982年,両眼角膜の周辺部に混濁および新生血管が生じてきた.1984年8月強い右眼痛を訴え眼科受診したところ,右眼は角膜輪部1時の位置に虹彩脱出を伴った強角膜穿孔を生じていたので,穿孔部に結膜被覆が施行された.しかし,約1カ月後には虹彩の膨隆が著明となったため,当科に紹介された.初診時視力は右=0.1(0.6),左=0.2(1.2)で,右眼は1時の位置の角膜輪部に虹彩の著明な膨隆を認め,さらに角膜輪部全周より新生血管の進入が認められ,周辺部の角膜実質はやや菲薄化して脂質の沈着が全周に認められた(図1).左眼には角膜穿孔はなかったが,右眼と同様に新生血管の進入,角膜実質の菲薄化,脂質の沈着が認められた(図2).1984年9月8日右眼の強角膜穿孔に対して,周辺部表層角膜移植術を施行した.手術は膨隆した虹彩の周囲に直径7.5mmのトレパンにて印をつけ被覆結膜を切除し,周辺部角膜および強膜を半層に切除した.
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