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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻4号

1986年04月発行

文献概要

特集 第39回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著

Palisades of Vogtの消失する角膜疾患

著者: 木下茂1 切通彰1 大路正人1 大橋裕一2 真鍋禮三2

所属機関: 1大阪労災病院眼科 2大阪大学医学部眼科

ページ範囲:P.363 - P.366

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 角膜輪部に存在する皺襞palisades ofVogt (POV)が完全に消失している角膜疾患を臨床的に検討した.今回検討した疾患のなかで角膜輪部360度にわたるPOVの完全消失を認めたものは,熱・化学腐食39眼中32眼82%,Stevens-Johnson症候群30眼中25眼83%,ocular pem-phigoid 8眼中8眼100%,トラコーマ10眼中10眼100%,放射線性角膜炎2眼中2眼100%,IDU長期使用者21眼中11眼52%,点眼薬頻回使用者22眼中10眼45%であった.一方,正常眼30眼,再発性角膜上皮剥離7眼,春期カタル10眼,乾性角結膜炎10眼ではPOVは全例に存在した.以上のように,POVの消失は通常の角膜上皮疾患では認められず,難治性角結膜上皮疾患で高頻度に認められた.また,POVの消失した周辺部角膜には上皮直下の表層性角膜血管新生を高頻度に認めた.今回の結果から推定して,角膜におけるPOVの消失は角結膜上皮疾患に特徴的な臨床所見と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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