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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻4号

1986年04月発行

文献概要

網膜裂孔発見のためのポイント集(4)

網膜剥離の範囲と裂孔の位置(2),その他

著者: 桂弘1

所属機関: 1慶応義塾大学

ページ範囲:P.422 - P.423

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4.ルールのあてはまらない場合
 前回は網膜剥離の範囲と裂孔の位置との間にあるルールについて述べた.しかし,もちろん,すべての症例がこのルールにあてはまるわけではなく,発見した裂孔の位置から網膜剥離の範囲をどうしても説明できない症例もある.長期剥離例では強固な分界線形成や線維性組織の存在により,網膜剥離が症例によって特殊な形をとることがある(図17a).また,術後再剥離の症例では,すでに置かれているバックルや瘢痕によって修飾される.しかし,瘢痕やバックルの部位と剥離網膜との位置関係を把握することにより裂孔の位置を予想することは可能である.たとえば,輪状締結術を施行している症例では,バックル上の網膜が剥離していなければ,裂孔はバックルより後極寄りにあるはずである(図17b).また,バックル上の網膜が剥離している場合は,バックルより周辺部の剥離の範囲や瘢痕部とのつながりの有無をよく確認することが大切である.ただ,瘢痕部網膜の剥離や裂孔の有無は非常にわかりにくいので細隙灯顕微鏡による注意深い観察が必要である(図17c).
 裂孔が2個以上しかも多象限に存在する場合は,基本的にはルールの組み合わせになるが,数が多いと予想はむずかしくなる.ただ,発見した一つの裂孔で,存在する網膜剥離の範囲を説明できない時は,他に裂孔が存在することを疑うことが大切である.また,ルールにあてはまる裂孔を見つけたことにより安心し,他の部分の検査を怠ると危険で,このルールはあくまで参考であり,網膜全体をしらみつぶしに検査することが基本であることを忘れてはならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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