icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻5号

1986年05月発行

文献概要

特集 第39回日本臨床眼科学会講演集 (4) 学会原著

難治性ベーチェット病のシクロスポリンによる長期治療

著者: 山下英俊1 林清文1 中川和美1 増田寛次郎1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院眼科

ページ範囲:P.465 - P.468

文献購入ページに移動
 難治性ベーチェット病15例26眼に対し,免疫抑制剤シクロスポリン(CYA)治療開始後1年以上経過観察した結果を報告する.CYA10mg/kg/日より開始し眼症状および副作用に応じて量を増減した.
 眼発作頻度はCYA治療前1.1±0.8回/月であったが,CYA投与開始後,0.4±0.3回/月と有意に減少した(p<0.005).視力は改善または不変が26眼中22眼にみられた.眼外症状(口腔内アフタや皮膚症状)の発生頻度はCYA治療前後で有意差はなかった.
 眼発作とCYA最低血清中濃度および臨床免疫検査とに相関はなく,CYA有効性の指標はみいだせなかった.
 副作用としては腎機能低下が全例にみられ,肝機能ではGOTまたはGPTが正常上限をこえた例が9例みられたが投与量を漸減するにつれて改善した.CYA投与中神経ベーチェット病2例,腸管ベーチェット病2例がみられ,今後十分な注意を要する.悪性腫瘍の発生は現在までのところみられない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?