icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻5号

1986年05月発行

文献概要

臨床報告

色覚検査法の検討(4)一般外来における色覚検査

著者: 安間哲史1 高柳泰世 長屋幸郎

所属機関: 1名古屋大学医学部眼科

ページ範囲:P.541 - P.546

文献購入ページに移動
 色覚検査だけで色覚異常の診断がどの程度可能であるかを検討するために,478例の色覚異常者において,石原表国際版,TMC表,SPP表ならびに石原大熊色覚異常程度表の4種類の色覚検査表を用いて色覚異常の型診断判定を行い,アノマロスコープ,パネルD−15ならびにランタンテスト結果との関連を検討した.
 色覚異常の型診断のためには,SPP分類表ならびに石原大熊程度表が最も適しており,いずれか1種類だけを使用するならばSPP分類表が最適であると判定された.一方,色覚異常の程度判定については,TMC程度表と石原大熊程度表の間に優劣はつけがたかった.TMC程度表は強度と判定される率が高すぎる欠点があり,石原大熊程度表は第一色覚異常を軽く判定しすぎる欠点があった.これらのことから,色覚異常の程度判定を色覚検査表を用いて行うことにはかなり無理があるが,それぞれの検査表の特徴を十分に認識して利用すればその利用価値はあると考えられた.
 色覚検診で学校用石原表を1表以上誤読したとして検出されたもの657名のうち,色覚正常者は179名(男性568名中105名,女性89名中74名)であり,女性では色覚正常者の占める比率が圧倒的に高かった.この中には色覚異常の遺伝的保因者が多く含まれていると思われた。また,これらの色覚正常者は色覚検査表を誤読する傾向があったが,パネルD-15あるいはランタンテストはほとんどのものがpassしており,これらの検査を併用することによって,色覚異常と誤診される危険性を低下させることができると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?