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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻6号

1986年06月発行

文献概要

特集 第39回日本臨床眼科学会講演集 (5) 特別講演

虚血性前部視神経症

著者: 難波克彦2

所属機関: 1 2新潟大学

ページ範囲:P.581 - P.587

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 虚血性前部視神経症(AION)は中年以後にしばしば起こる視力障害の原因の一つである.後毛様動脈循環は視神経乳頭の血流の大半を占め,これは個人間で非常に大きな差がある.疫学上また病因論上AIONの症例は以下の二つに大別される.グループAは後毛様動脈または視神経の栄養動脈の血栓または栓塞による閉塞によるもの.グループBは視神経乳頭の栄養血管の一過性の灌流途絶または灌流不全によるものである.
 典型的な臨床像を有する症例では本症の診断は通常簡単である.ほとんど常に片眼に突然視力障害が発生し,これには疼痛を伴わず,しばしば朝起床時に気づかれる.視力障害の程度は視力1.0から光覚喪失までいろいろある.視野測定では視神経乳頭に関係した典型的な欠損が認められる.検眼鏡所見では,初期では主な変化は視神経乳頭浮腫であり,これは頭蓋内圧亢進にみられるものと鑑別できないものが多い(本症患者ではしばしば頭蓋内腫瘍が疑われるため)が,しかし乳頭は2カ月後には萎縮する.螢光眼底撮影では脈絡膜充えい欠損がみられる.症例の約3分の1は究極的には数週,数カ月,数年すると他眼にもAIONが発生する.AIONの症例の治療において,第1に重要な点は巨細胞性動脈炎を除外することである.その理由は,この疾患では両眼が完全に失明する危険性が大きいからである.AIONを種々の方面から検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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