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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻7号

1986年07月発行

文献概要

特集 第39回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

Trabeculectomy術後早期よりの血液前房内逆流に関する経時観察

著者: 南波久斌1 岡本新生郎1 弓田彰1 宮坂由美子1 高林良文1

所属機関: 1関東労災病院眼科

ページ範囲:P.746 - P.748

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 Trabeculectomyを施行した開放隅角緑内障31眼に対し,強膜圧迫隅角検査法を用いて,切除部隅角を術後早期から経時的に観察した.
 術後1週目より1週毎の観察を試みた10眼では,M1H1型隅角6眼中5眼において術後1-2週目に,Schlemm管断端部から血液逆流を見た.しかし,その部分に後に全例,PASを形成した.残りの1眼では術後4週目に初めて逆流出現したが,周辺部虹彩前癒着(PAS)は生じなかった.そこで,以降の症例に対しては術後1カ月目より観察を行った.術後12カ月間の観察期間において14眼の計23カ所から逆流を見た.それ以降では新しい逆流出現はみられなかった.一方,23カ所中10カ所で経過中に逆流が消失したが,その内,9カ所は,この12カ月間の観察期間内であった.以上の事から,人眼におけるtrabeculectomy隅角部に開口するSchlemm管を含む血管の活発な修復機転は,約1年で終了する事が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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