薬の臨床
原発開放隅角緑内障と高眼圧症に対する塩酸ジピベフリン点眼薬の薬効評価 エピネフリン点眼液との比較検討
著者:
東郁郎
,
北沢克明
,
高瀬正弥
,
塩瀬芳彦
,
澤田惇
,
田中恒男
ページ範囲:P.1089 - P.1106
用時溶解型の点眼薬0.04%DE-016および0.1%DE-016の原発開放隅角緑内障あるいは高眼圧症に対する臨床的有用性を検討するため,エピネフリン点眼液(EPI)を対照薬とした封筒法による交叉比較試験(well controlled cross-over study)を実施し,以下の成績を得た.
(1)試験対象は268例で,除外症例15例を除く253例を解析対象とした.解析対象は低濃度群125例,高濃度群128例であった.
(2)有効性の判定において「有効」以上に判定された症例は,0.04%DE-016で76.5%,0.1%DE-016で76.1%,EPIで76.8%であり,3剤間に有意差が認められなかった.しかし眼圧降下の程度は0.1%DE-016>EPI>0.04%DE-Ol6の順であった.
(3)副作用の発現率は0.04%DE-016で35.4%,0.1%DE-016で52.4%,EPIで50.0%であり,0.04%DE-016の発現率が最も低かった.
(4)患者の印象では「良い」以上に判定された症例は,0.04%DE-016で63.3%,0.1%DE-016で62.0%,EPIで51,1%であり,0.04%DE-016とEPIの間,0.1%DE-016とEPIの間に有意差が認められ,0.04%DE-016>0.1%DE-016>EPIの順に患者の忍容性が高かった.以上の成績より,cross-over法による時期差および順序効果は認められなかったが,用時溶解型の0.04%DE-016および0.1%DE-016は,緑内障治療薬として臨床応用が可能であり,従来のEPIに比して,より有用性が高い薬剤であることが示唆された。