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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科40巻9号

1986年09月発行

文献概要

臨床報告

涙点プラグの開発と臨床応用成績

著者: 濱野孝1 大橋裕一1 趙容子1 金昭姈1 松田司1 下村嘉一1 眞鍋禮三1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科教室

ページ範囲:P.1063 - P.1067

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 涙液減少症は,医師にとっても患者にとっても,対処するのに困難な疾患である.今回,我々は涙液減少症の患者に対して,新しく開発した従来のものと異なる涙点プラグを使用し,良好な結果を得たので報告する.使用したプラグは含水率70%のPVPとPMMAの共重合体である.このプラグは乾燥時には体積が元の3分の1となり,涙点への挿入が従来のものより容易である点,含水率が高いため,角結膜への障害が無く異物感も少ない点などが特徴である.
 この涙点プラグをシェーグレン症候群,スティーブンスジョンソン症候群,その他の原因による涙液減少症に使用したところ,ローズベンガル染色,フルオレッセイン染色,フォトケラトスコープ像,フェノールレッド綿糸法の値,矯正視力がいずれも改善し,非常に有効と考えられた.涙点プラグは外来で行え,かつ可逆的な処置であるため,医師,患者双方にとって心理的負担が少ない事,臨床効果の大きい事から涙液減少症の治療法の一つとして有用なものであると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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