臨床報告
白内障手術におけるポリグリコール酸9-0縫合糸の評価
著者:
清水千尋1
前田利根1
土坂寿行1
所属機関:
1旭中央病院
ページ範囲:P.1073 - P.1075
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18眼の水晶体嚢内摘出術(ICCE)および14眼の水晶体計画的嚢外摘出術(ECCE)を対象として,合成吸収性9-0ポリグリコール酸(以下PGA)縫合糸の評価を行った.ICCEを対象とした試験の結果,9-0PGA糸は組織の通過性に優れ,十分な抗張力,結節保持力を示した.しかし,9-0PGA糸は結節縫合よりも連続縫合に適しており,ICCEに使用した場合他の太い縫合糸の追加縫合を必要とするため,より切開創の小さな手術に適していた.以上の結果よりECCEを対象として9-0PGA糸を用いた連続縫合を行い,縫合糸および縫合法の評価を行った.この結果,9-0PGA糸を用いた連続縫合は術中,術後の合併症も認められず,良好な手術成績が得られた.また,術後糸周囲の刺激症状は極めて少なく,角膜乱視に関しては術後,1週間目に著明な直乱視を認めたが,術後4週間目以降次第に軽減し,術後3カ月目には軽度の倒乱視化を示した.