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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻1号

1987年01月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・3

Cherry-red spot

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.14 - P.15

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 Cherry-red spotは網膜中心動脈閉塞症やTay-Sachs病などのリピドーシス(脂肪症)で見られる特徴的な眼底所見である.
 網膜中心動脈閉塞症では網膜の血行が突然途絶してcherry-red spotが出現する.網膜動脈は終末動脈であるので,閉塞するとその支配領域の網膜は虚血に陥って壊死を起こす.網膜血管は主として網膜内層(内境界膜から内顆粒層まで)を栄養しているので,網膜動脈の血行途絶によって生じる網膜壊死は網膜の内層に限られている.これに対し,網膜外層(外網状層から網膜色素上皮細胞層まで)は脈絡膜血管によって栄養されているので,網膜動脈の血行が途絶えても壊死にならない.網膜は虚血性の壊死が起こると乳白色に混濁する.黄斑部の中心(中心小窩)は網膜外層だけで構成され,脈絡膜から栄養されているので壊死にならない.組織の透明性が保たれ,脈絡膜の色調がそのまま透見される.したがって,後極部網膜の混濁の中に中心小窩の赤い斑点が認められる.これが網膜中心動脈閉塞症のcherry-red spotである(図1).網膜動脈の血行が途絶しても赤道部から周辺部では網膜混濁は目立たない.これは周辺部では網膜内層の厚さが薄く,検眼鏡的に網膜混濁として認められにくいためである.後極部では網膜の内層が厚いので混濁が目立ち,透明部と混濁部とのコントラストは明瞭である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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