臨床報告
未熟児網膜症に対する仰臥位レーザー光凝固
著者:
馬嶋昭生1
市川琴子1
加藤寿江1
滝昌弘1
所属機関:
1名古屋市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.41 - P.45
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未熟児網膜症に対する光凝固(PHC)と冷凍凝固(CRC)は,共にわが国において開発された方法であり,PHCが広く普及した.一方,欧米においてはかなり遅れてCRCが行われるようになり,最近はわが国でもCRCを第一の選択とする人が増えている.いずれの方法にも長所と短所はあるが,PHCの欠点の第一にあげられるのは手技の困難さである.これは,レーザーPHCが一般化し,キセノンPHC装置を使いこなせる術者が非常に少なくなったことによるものと考えられる.しかし,著者らはPHCにより多くの長所を認めているので,レーザーPHC装置を用いて簡単に行える方法を開発した.まず,未熟児・新生児用2面鏡コンタクトレンズ(馬嶋)を考案・作成し,レーザーPHC装置OphthalasRをZeissOMPI 6型手術顕微鏡に組込み,付属の細隙灯を用いて仰臥位で凝固する完成品を入手した.これを用いて,中間型1例とI型全周型6例,合計7例12眼に治療を行った.手技は非常に容易であり,しかも至適な大きさ,強さの凝固斑を的確な部位に得ることができ2週間後には理想的な瘢痕巣が完成した.そのため,今後はI型ROPでも,両眼を同日に治療する方向に進めてもよいと考えている.