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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻1号

1987年01月発行

文献概要

臨床報告

老人性白内障の進行の観察

著者: 弓削経夫1 竹田仁2 今道正次3 丸山節郎3

所属機関: 1弓削眼科六地蔵診療所 2京都府立医大同位元素研究室 3サンコンタクトレンズ

ページ範囲:P.79 - P.82

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 白内障の進行状態を検討するのはむずかしい.その理由の一つは,白内障の現症を記載する方法が確立していないからである.我々は老人性白内障の患者について,1〜2年後の矯正視力の変化を観察したが,70歳以上の老人の視力は,変動が大きく,大多数の症例では,進行の有無は確認できなかった.
 ナイツカタラクトカメラおよび小改造したツァイスのフォトスリットを用いて,水晶体の徹照および細隙灯写真を撮影し,その写真を用いて,光の透過度を測定し,白内障の混濁のつよさを,フィルムにあたった光の量に換算して表示することにした.皮質白内障の程度は,徹照写真中最も明るい所を基準とし,その40%で示される混濁よりもつよい混濁の占める面積の割合で表わした.また核白内障の程度は,角膜の断面からの光量を基準とし,これに対する核からの光の量の割合で表示した.
 1〜2年の間隔をあけて撮影された,同一水晶体の2枚のフィルムについて数量表示し,対照を横軸に,1〜2年後の値を縦軸にして,その変化を検討した所,核白内障はほぼ45度の線上に位置し,ほとんど進行を認めなかった.皮質白内障ではこの線の非常に下方に位置したのは,数量表示上は著しい回復を示すことになるが,実際は白内障が急速に進行した症例がある.これらを除外すると,皮質白内障は平均64.2度(タンジェント2.10)の傾きの進行を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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