連載 眼科図譜・356
Meesmann角膜上皮ジストロフィーの母子例
著者:
梅本真代1
大橋裕一1
真野富也1
木下裕子1
所属機関:
1関西労災病院眼科
ページ範囲:P.1136 - P.1137
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Meesmann角膜上皮ジストロフィーは稀な遺伝性疾患で,1935年にPameijer1)によって初めて報告され,1938年にMeesmann2)によって独立した疾患として確立された.本疾患は常染色体性優性遺伝形式をとるが,その詳細な遺伝様式についてはThiel3)による膨大な研究がある.臨床的には幼少時から発症する角膜上皮層内のびまん性の微小嚢胞を特徴とし,角膜表面に達すると上皮欠損を生じるために,患者は異物感を訴えることが多い.この嚢胞は,組織学的にはPAS陽性物質の充満した変性上皮細胞の集合である.本症はドイツのユットランド半島の地域にしかないと従来からいわれていたが,実際には他の地域からの報告も散見され,わが国でも,先に山本4)・涌井5)および最近の宮本ら6)が本疾患の報告を行っている.今回本疾患の母子例を経験し,その1例に対して診断学的な意味で圧迫細胞診(impression cytology)を施行したので報告する.