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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻10号

1987年10月発行

文献概要

臨床報告

網膜中心静脈閉塞症を来したdural carotid-cavernous fistulaの1症例

著者: 鈴木康夫1 有門卓二1 兵藤俊樹1 大橋勉1 横井匡彦1 宮坂和夫2 加瀬学3

所属機関: 1北海道大学医学部眼科学教室 2北海道大学医学部放射線学教室 3札幌逓信病院眼科

ページ範囲:P.1155 - P.1158

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 46歳女性のdural carotid-cavernousfistulaの症例において,眼球突出,球結膜充血,続発緑内障とともに,venous stasis retinopathyの発生と,網膜中心静脈閉塞症への移行が認められた.網膜出血,網膜浮腫の増悪に伴い,視力は低下したが,短絡血管に放射線学的な塞栓術(transvascular embolization)を行い,海綿静脈洞の圧を下げることにより,視力の上昇が得られた.また,眼球突出および続発緑内障の改善も認められた.
 Dural carotid-cavernous fistulaでは,網膜病変は軽度であり,これによる視力障害は少ないとされているが,本症例のごとく網膜中心静脈閉塞症を来すと視力の低下は著明となる.それゆえ,venous stasis retinopathyの段階であっても,増悪傾向がある際には,海綿静脈洞の減圧術を積極的に行うことが必要と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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