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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻11号

1987年11月発行

最新海外文献情報

角膜,他

著者: 樋田哲夫1

所属機関: 1杏林大

ページ範囲:P.1250 - P.1251

文献概要

Raber IM, Friedman HM : Hepatitis B surface antigen in corneal donors. Am J Ophthalmol 104 : 255-258, 1987
 移植角膜を通して感染したウイルス性疾患として,これまでは狂犬病とKreutzfeldt-Jakob病の二つが報告されていたが,AIDSウイルスが涙液,結膜上皮および角膜組織中に証明されて以来,AIDSの感染の可能性も問題となっている。
 最近米国眼球銀行協会は角膜移植によるB型肝炎感染と思われる1例を経験したという。筆者らは提供角膜を使用した後に,提供者がHBsAg陽性と判明した例の角膜を除去した提供眼と,B型肝炎で死亡した患者の全眼球2眼を洗浄した生食液を酵素抗体法で検討し,いずれにもHBsAgを証明した。またB型肝炎患者と事故死したHBsAg陽性者の角膜をemulsifyして同様に検討したところ,前者は強陽性,後者は陰性であった。抗体陽性者の眼球各種組織内におけるHBsAgの存在については,過去にすでに報告されているが,本論文も実験過程における血液の混入を完全には否定できないものの,角膜移植を通してのB型肝炎感染の可能性があることを強く示唆するものである。AIDSと共に確実な提供者のscreeningが必要とされ,眼球銀行の運営はますます大変なものとなる。万が一移植後に提供者のHBsAg陽性が判明した場合には,免疫グロブリンとワクチンの接種を行うべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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