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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻11号

1987年11月発行

文献概要

臨床報告

動眼神経異常連合運動に対する斜視手術の1例

著者: 長谷部聡1 小山雅也1 大月洋1 渡辺好政1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1259 - P.1262

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 動眼神経麻痺の回復過程で,外眼筋,上眼瞼挙筋,瞳孔括約筋などに異常連合運動が起こる現象は良く知られているが,その眼位異常や眼瞼下垂の矯正に際しては,異常な神経支配に対する配慮が必要となる。
 症例は20歳,男性。頭部外傷による右眼の動眼神経麻痺で,異常連合運動として,下転時の瞼裂開大と縮瞳,内転時の瞼裂開大を認めた。さらに上下転制限を認め,筋電図にて上,下方視時の上下直筋の同時収縮を確認した。これに対し,右下斜視の矯正目的で右眼下直筋後転4mmを施行したところ,眼位は正位となり,更に第一眼位での眼瞼下垂が消失した。第二段階として,下方視での上下偏位矯正目的で,左眼下直筋Faden 14 mmを施行したが,効果は不十分であった。
 以上より,動眼神経異常連合の症例では,上,下直筋手術の効果は,上,下直筋共同収縮の有無に左右されるため,術式の選択にあたって十分配慮すべきである。また,眼位により瞼裂幅が変化する例では,眼筋手術によって眼瞼下垂の改善の可能性があると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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