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臨床報告
動眼神経異常連合運動に対する斜視手術の1例
著者: 長谷部聡1 小山雅也1 大月洋1 渡辺好政1
所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1259 - P.1262
文献購入ページに移動症例は20歳,男性。頭部外傷による右眼の動眼神経麻痺で,異常連合運動として,下転時の瞼裂開大と縮瞳,内転時の瞼裂開大を認めた。さらに上下転制限を認め,筋電図にて上,下方視時の上下直筋の同時収縮を確認した。これに対し,右下斜視の矯正目的で右眼下直筋後転4mmを施行したところ,眼位は正位となり,更に第一眼位での眼瞼下垂が消失した。第二段階として,下方視での上下偏位矯正目的で,左眼下直筋Faden 14 mmを施行したが,効果は不十分であった。
以上より,動眼神経異常連合の症例では,上,下直筋手術の効果は,上,下直筋共同収縮の有無に左右されるため,術式の選択にあたって十分配慮すべきである。また,眼位により瞼裂幅が変化する例では,眼筋手術によって眼瞼下垂の改善の可能性があると考えた。
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