臨床報告
後房レンズ挿入術後のフィブリン析出について その1 計画的嚢外法との比較
著者:
坂西良彦1
沢充1
清水昊幸1
所属機関:
1自治医科大学眼科
ページ範囲:P.1323 - P.1328
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同一メーカー社製後房レンズ挿入術(PC-IOL)症例154眼を対象として,術後フィブリン析出の臨床像につき,計画的嚢外摘出術単独(P-ECCE)例34眼を対照として検討した.フィブリンは,形態によりO:フィブリン(-),I:線状フィブリン,IIa:膜状フィブリンでIOL光学部の透見可能,IIb:膜状フィブリンでIOL光学部の透見不可能,III:塊状フィブリンとに分類され,さらにその発症時期により,早期発症型フィブリンと後期発症型フィブリンとに分類された.早期発症型フィブリンは,PECCE,PC-IOLの両群にみられ,その発症頻度は22眼14%,発症日は術翌日,平均持続期間は2.7日であった.原因としては手術侵襲,水晶体遺残物が考えられた.後期発症型フィブリンはPC-IOL群のみにみられ,その発症頻度は58眼38%,平均発症日は術後4.7日,平均持続期間は8.0日であり,その発症にはIOLによる起炎性反応が関与していると考えられた.