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臨床報告
角膜前面放射状切開術を受けたヒト角膜の組織学的検索
著者: 山口達夫13 玉城宏一1 中島章3
所属機関: 1ルイジアナ州立大学眼センター 2マウントサイナイホスピタル眼科 3順天堂大学眼科学教室
ページ範囲:P.217 - P.224
文献購入ページに移動(1)症例1で同一眼でも,切開線の深さに30%程の差が認められた事より,切開線の深浅の差が術後の屈折量定の困難さや,乱視の発生に関与していると考えられた.切開線の非対称さも乱視の発生の原因の一つであると考えられる.
(2)ボーマン膜の断裂,離開,実質創への上皮陥入,角膜実質のcollagen lamellaeの断裂および乱れ,実質細胞の創附近での集合,実質内のepithelial inclusion cyst等がglareと羞明の原因であると推測した.
(3)屈折効果を高める目的で再切開を受けた症例2の角膜は,1回の切開に比べより強いdamageが角膜に観察され,そのwound healingには,より長い年月が必要であろうと思われた.
(4)症例1では両眼とも切開線に一致して角膜の裏面に突出(ridge)が認められた事より,切開線の裏面直下は他の部分に比較し,stressが加わりやすく,構築上脆弱であると思われた.
(5)症例1の両眼に偶然であるが,デスメ膜の後面にabnormalなcollagen layerが認められた.
(6) ARKの角膜内皮細胞への影響に関し,若干の考察を加えた.
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