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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻3号

1987年03月発行

文献概要

臨床報告

眼内レンズパワー誤差に及ぼす眼軸長の影響

著者: 大路正人1 近江源次郎1 切通彰1 木下茂1 柏木豊彦2

所属機関: 1大阪労災病院眼科 2市立泉佐野病院眼科

ページ範囲:P.245 - P.249

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 眼内レンズパワーの決定において,眼軸長が眼内レンズパワーの誤差に与える影響をBinkhorst式とSRK式を用いて検討した.対象は後房レンズ(AMO社,PC-11)を挿入された186眼.術前の角膜屈折力と眼軸長測定から計算した術後予想屈折値(以下予想レフ値)と実際の術後屈折値(以下術後レフ値)を比較した.
 Binkhorst (4.3)式(前房深度を4.3mmとした術式)は,眼軸長が短い症例で,眼内レンズパワーを強く算出する傾向があり,予想より1.5〜4.0ジオプター(以下D)の近視となった.眼軸長が長くなるにしたがってその傾向は減弱し,眼軸長が25mm以上の症例では誤差はほぼ±0.5D以内となった.Binkhorst (3.0)式(前房深度を3.0mmとした式)でもほぼ同様の傾向がみられたが,誤差が全体的にマイナス寄り(術後遠視寄り)の結果となった.
 一方,SRK式では,眼軸長の短い症例では,誤差は0.0Dであるが,眼軸長が長くなるにしたがって,眼内レンズパワーを強く算出する傾向を示し,眼軸長が26mm以上の症例では,術後約1.2Dの近視となった.mSRK式(A-constantを当科のデータにより変更した式)は,SRK式の結果より約0.3Dだけマイナス寄りの結果となった.
 誤差の平均値,誤差の標準偏差,誤差の変動幅などより,SRK式,mSRK式の方がBinkhorst(4.3)式,Binkhorst(3.0)式よりも信頼性が高かった。眼軸長測定器などの違いにより,誤差の絶対値は変化する場合があるが,Binkhorst式およびSRK式における今回の結果が示す性質は,基本的には変化することはない。したがって最も重要なことは,眼軸長と誤差との関係を定量的に把握し,臨床に応用することであると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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