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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻3号

1987年03月発行

文献概要

臨床報告

空気灌流下硝子体手術に続発した駆逐性出血の3例

著者: 岡本茂樹1 西川憲清2 細谷比佐志3 玉田玲子3 池田恒彦3 田野保雄3

所属機関: 1大阪大学眼科 2大阪警察病院 3国立大阪病院

ページ範囲:P.255 - P.258

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 空気灌流下硝子体手術に続発した駆逐性出血の3例を報告した.第1例は増殖性硝子体網膜症-D3の患者で,硝子体手術後に輪状締結術を施行中に駆逐性出血が発生した.第2,第3例は共に増殖性糖尿病性網膜症による黄斑部牽引性網膜剥離の症例で,硝子体手術と眼内液空気同時置換術を行った.第2例は翌日回診後,第3例は翌日深夜に眼圧が急激に上昇して硝子体出血を来した.再手術で駆逐性出血と確認され,第2例にはシリコンオイル注入を行った.現在,全例眼球癆となっている.空気灌流下硝子体手術に続発した駆逐性出血は,いずれも硝子体手術中には発生せず,灌流口抜去後または翌日に起こった.誘因としては,低眼圧,輪状締結術や歩行・診察が考えられ,しかも気体は液体に比して容積変化に対する許容性が高いため,ガスタンポナーデ中は脈絡膜出血が駆逐性出血に至りやすいと推論した.空気灌流下硝子体手術では,強膜創の縫合を強固にし,灌流口抜去は結膜縫合を除くすべての手術操作が終了してから行う必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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