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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻4号

1987年04月発行

文献概要

特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (1) 学会原著

シリコン眼内レンズ移植術についての検討

著者: 黒部直樹1 馬嶋慶直1 野村隆康1 木全一幹1 広川仁則1

所属機関: 1藤田学園保健衛生大学

ページ範囲:P.319 - P.323

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 眼内で非活性といわれるシリコンを材料とした後房レンズを49症例に移植し,その術後経過を観察した.従来のpolymethylmethacrylate(PMMA)を光学部とした後房レンズ移植例と比較検討し以下の結果を得た.①術後の視力経過,角膜内皮細胞減少率は差がなかった.②血液房水柵への影響は術後1カ月において,毛様溝固定のPMMAレンズに比べシリコンレンズの方が侵襲は少なかった.③瞳孔運動への影響はシリコンレンズの方が良好であった.④後発白内障の発生はシリコンレンズに高かったがNd:YAGレーザーによるレンズ損傷は少なかった.⑤支持部のbulgingを1例に経験し,手術的に整復が可能であった.⑥レンズ表面の付着物はシリコンレンズに少なかった.⑦眼圧およびC値に異常はなかったが,隅角部に虹彩色素沈着を認めた症例があった.
 短い観察期間ではあるが,新しい眼内レンズの材質として有用性があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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