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臨床報告
両側内頸動脈閉塞症に起因した眼虚血性症候群の1例
著者: 大野理子1 富井純子1 堀内二彦1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.387 - P.391
文献購入ページに移動症例 は83歳男性で,左眼の突然の視力低下を主訴とし,経過観察中に右眼にも一過性の黒内障発作様症状をきたした.
眼底所見として,左眼は黄斑部を含めた後極部網膜に浮腫状混濁を,右眼は中等度の動脈硬化を呈していた.
螢光眼底所見としては,両眼の腕-脈絡膜循環時間・腕-網膜循環時間,ならびに網膜内循環時間などが遅延しており,特に左眼で著しかった.
網膜中心動脈圧は両眼とも高血圧を示し,特に拡張期血圧が高値を示した.
DSA検査で両側内頸動脈閉塞症と確認できたにもかかわらず,OCVM検査に異常を認めなかったことなどから,慢性の両側内頸動脈閉塞症と診断し,網膜血管抵抗の上昇に伴う,広義の眼虚血性症候群の一種と考えた.
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