icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻5号

1987年05月発行

文献概要

特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (2) 学会原著

眼内レンズ挿入術後に認められた不可逆性散瞳について

著者: 谷瑞子1 早川純子1

所属機関: 1国立東京第二病院眼科

ページ範囲:P.433 - P.437

文献購入ページに移動
 1984年1月より施行した計画的嚢外摘出術後に後房レンズを挿入した自験1列248眼のうち,8例8眼(3.2%)に不可逆性散瞳が認められた.男4例,女4例.年齢は58〜78歳.右5眼,左3眼であり,術後観察期間は4〜11カ月であった.術前検査において1例のみがpellucid mar-ginal corneal degenerationを呈した他は異常所見を認めた症例はなかった.術中経過は順調であり,術前,術中に合併症を予測させるものはなかった.術後3〜5日より散瞳が始まり,術後7〜15日で対光反応が消失し,瞳孔径はいずれも7.5〜8mmであった.各種縮瞳剤を使用したが著効といえるものはなく,瞳孔径には変化がみられなかった.全層角膜移植後にみられるUrrets-Zavalia症候群とよく似た現象と思われ,原因や機序に関しては不明であるが,皮質の吸引・灌流の際の圧の変化や,前房内操作による瞳孔括約筋の虚血性変化の可能性は否定できない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら