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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻5号

1987年05月発行

文献概要

臨床報告

眼内灌流液と超音波水晶体乳化術中の気泡発生について

著者: 江口秀一郎1 松村譲2 新家真1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室 2科研製薬株式会社 3東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.535 - P.540

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 ケルマン超音波水晶体乳化装置を用い,豚眼前房内を各種眼内灌流液で置換し,灌流液組成成分が超音波発振時の前房内気泡発生に与える影響を検討した.炭酸ガス重炭酸イオン系を全く含まないBSS (balanced salt solution),乳酸リンゲルは,それらを含むGBR (glutathion bicar-bonate ringer),S-MA2等に比べ明らかに気泡発生が少なかった.重炭酸イオンを含み,炭酸ガス平衡を行っていない灌流液は,炭酸ガス平衡を行っている灌流液に比べ気泡発生が少なく,家兎眼を用いた角膜内皮灌流実験では,両灌流液間の角膜膨潤速度に有意の差を認めなかった.高分子デキストランを含む溶液は含まない溶液に比べ気泡発生が多かった.超音波水晶体乳化術には,グルコースや重炭酸イオンを含み炭酸ガス平衡をしていない灌流液が手術操作に障害となる前房内気泡発生が少なく実用に適すると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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