文献詳細
特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (3)
学会原著
文献概要
初回あるいは2回目の線維柱帯切除術を施行した各種緑内障33例41眼を対象として,5-Fluorouracil (5-FU)5mgを術後1週間は1日1回,第2週は隔日1回結膜下注射を行った.5-FU投与を行わなかった病型の等しい30例36眼をコントロールとし,術後眼圧調整率を生命表法を用いて解析した.術後11カ月で,眼圧下降薬を用いることなく眼圧調整の得られる確率は,5-FU群では61.9%,コントロール群では19.1%で両群間に有意差を認めた(P<0.001).術後ピロカルピン,β遮断剤の点眼を行うことにより眼圧調整の得られる確率は,5-FU群82.5%,コントロール群62.7%,点眼に加え炭酸脱水酵素阻害剤内服を行うことにより,5-FU群90.7%,コントロール群76.9%であった.眼圧が20mmHg以下に調整された症例の最終観察時の平均眼圧は5-FU群9.9mmHg,コントロール群14.2mmHgで両群間に有意差を認めた(P<0.001).5-FU投与により,眼圧調整の得られる可能性が改善されるのみならず,非使用群に比して眼圧がより低いレベルに保たれたことは,術後の視機能維持の上での5-FU投与の有用性を強く示唆するものと思われる.
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