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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻6号

1987年06月発行

文献概要

特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著

脈絡膜剥離を伴った裂孔原性網膜剥離

著者: 金井清和1 宇山昌延1 藤本恭平1 高橋寛二1

所属機関: 1関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.591 - P.595

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 裂孔原性網膜剥離が脈絡膜剥離を伴った場合,剥離手術を行うにあたって術前に長期の安静を行って脈絡膜剥離の消退を待って手術を行った従来の方法と,安静期間を長く取らないで早期手術を行う最近の方法とを比較した.いずれの場合もscleral buckling法を行うのを基本とし,最近は脈絡膜剥離が高度であるとchoroidal tapと硝子体内に液体ないし気体の注入を併用した.術前の安静期間は従来の方法では平均約12日,最近の方法では約4日であった.
 手術成績は,退院時の網膜復位率は両者に差はなく約90%であったが,6カ月後の成績は従来の方法では増殖性硝子体網膜症による剥離再発例があったため復位率83.3%となったが,最近の早期手術では復位率91.7%を保ち良い結果であった.長期安静と薬物療法で脈絡膜剥離の自然消退を待って手術をするよりも,脈絡膜剥離があっても手術を行い,もし高度であればchoroidal tapと,硝子体内液体ないし気体注入を併用すればよい.
 しかし1眼あたりの手術回数は,従来の方法は1.17回であったのに対し,最近の方法は1.33回,さらにchoroidal tapを行った例のみについては1.71回で,最近の方法では手術回数が多かった.
 Scleral buckling法が好成績であったのに対し,硝子体手術は成績が必ずしも良くなく,特別な症例を除き通常は適応はないと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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