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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻6号

1987年06月発行

文献概要

特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著

角膜移植提供眼の細菌汚染について

著者: 岡本繁1 松崎裕子1 植栗一恵1

所属機関: 1臨床眼科研究所

ページ範囲:P.634 - P.639

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 眼球保存液に添加する抗生剤は固定したものではなく,耐性菌の推移に応じて決定すべきものと考える.現在米国の多くのアイバンクでは眼球保存液にGentamicin (GM)が添加されており,わが国では眼球保存液・II (EP-II・科研)の添付文書にはPenicillin G (PCG),Streptomicin(SM)を添加するよう記載されている.我々は1984年5月より1986年4月までの2年間に提供を受けた角膜移植提供眼204眼について保存液,強角膜片からの細菌培養を行い,次の結果を得た.
(1)スリランカ提供眼156眼は抗生剤を添加しない保存液に全眼球として保存されていたが,約70%の眼球に細菌汚染がみられた.
(2)国内提供眼28眼は主として強角膜片として,Mezlocillin (MZPC)を添加した保存液に保存されていたが約18%に細菌汚染がみられた.
(3)米国眼20眼はGMを添加したMcCarey-Kaufman液(M-K液)に強角膜片として保存されていたが,菌は全く検出されなかった.
(4)総検出菌株数は492株でうち44株が真菌であった.内訳はCoagulase (-)ぶどう球菌が17.5%,ぶどう糖非醗酵グラム陰性桿菌が34.6%を占めた.
(5)薬剤感受性検査の結果はPCG,SM,MZPCは不良で,Amikacin (AMK),GM,Minocycline(MINO)の成績がよかった.GMは米国の大多数のアイバンクで添加されている100μg/ml前後の濃度を考慮すると大多数の検出菌に対して感受性があり,現時点では眼球保存液に添加するのに適当な抗生剤と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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