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臨床報告
文献概要
最近我々は所謂モデルエアーガンによって生じた特異な角膜外傷の1例に遭遇した.病変は中央にほぼ円形の健常部を残して,その周囲に輪状に角膜上皮の欠損を来し,隅角解離,前房出血などを生じていた.角膜病変は4日後には完全に治癒した.白色家兎眼および犬の摘出眼を用い,実験的にこの輪状角膜上皮欠損の形成機序について考察した.輪状病変の形成には射程距離,弾丸の衝突する方向,眼圧,眼球周囲構造などが関与し,角膜上皮のひずみと,ひずみを作り出す応力が重要と思われた.また輪状病変のうちでもその外側の境界部は,他の部に先行して最初に形成されると思われた.実験中は隅角解離,前房出血などの病変は生ぜず,動物眼が人眼に比して,衝撃に強いことが示された.
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