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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻6号

1987年06月発行

文献概要

臨床報告

自動視野計オクトパスF−8®プログラムによる黄斑部閾値変動の解析

著者: 宮澤裕之1 田村忍1 溝上国義1

所属機関: 1神戸大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.693 - P.697

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 視神経炎および緑内障における黄斑部視機能を明らかにするため,自動視野計Octopus F-8®programを用いて中心3度内の黄斑部領域の,網膜感度閾値および閾値変動の検討を行った.視神経炎の急性期では障害部位がsieve-likeを呈する傾向を認めたのに対し,緑内障では欠損部がsteepに移行する傾向を認めた.視神経炎の回復過程において網膜感度の上昇とともに閾値変動の減少が観察されたが,視力および網膜感度が正常となった時点でも,病的に大きな閾値変動が残存していた.また黄斑部領域の網膜感度がすべて正常である症例群において,緑内障および視神経炎後の視神経萎縮では正常例に比し,有意に大きな閾値変動が認められた.
 黄斑部領域の障害形式の違いは両疾患の病因の差に基づくと考えられ,初期から中期緑内障においてすでに黄斑部視機能が障害されている可能性が示唆された.また視力および網膜感度が正常化した視神経炎症例においても,なんらかの視機能障害が残存していることが推測された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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