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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻7号

1987年07月発行

特集 第40回日本臨床眼科学会講演集 (4)

学会原著

糖尿病性網膜症による硝子体出血の治療 その早期治療の必要性と治療方法について

著者: 別所建夫1 志賀早苗1 西山苑1 大島禎二1

所属機関: 1松山赤十字病院眼科

ページ範囲:P.745 - P.750

文献概要

 糖尿病性網膜症に起因する初回硝子体出血後,血液の下方沈下のための起座位絶対安静と汎網膜光凝固による加療を行った我々の成績についてまとめ,これを対照例と比較検討した.眼底の観察が困難な程度のmassive vitreous hemor-rhageを示す糖尿病性網膜症例を対象に,これを2群にわけて検討した.治療群は初回硝子体出血後1週間以内に,血液の下方沈下を目的とした起座位絶対安静ならびに中間透光体の透明化後に汎網膜光凝固を行った39眼で,この内21症例は出血の繰り返しのために硝子体手術を追加した.39眼中19眼が硝子体出血前に既に光凝固を受けていた.対照群は硝子体出血後薬物治療を主体として加療し,視力改善を目的として硝子体手術を行った25眼で,14眼は硝子体出血発生前に光凝固を受けていた.片眼が対照群の対照症例は7症例であった.治療群の39眼では,18眼(46%)が硝子体手術を必要とせず良好な視力を保持し,21眼(56%)で硝子体手術を必要としたが,手術成功率100%,0.5以上の視力改善率86%と対照群と有意の差をもった改善を認めた.治療群の繊維性増殖は対照群より有意に抑制されていた.本症では繊維性増殖の存在が予後を左右すること,一部の繊維性増殖は硝子体出血を後極部に放置することにより進展すること,硝子体出血後の早期の処置が繊維性増殖を抑制し,視力予後に多大な影響を及ぼすことを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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