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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻9号

1987年09月発行

文献概要

臨床報告

最近11年間における強膜炎75例の解析

著者: 荒木かおる1 中川やよい1 多田玲1 笹部哲生1 春田恭照1 湯浅武之助1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1075 - P.1078

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 阪大眼科で最近11年間に観察された強膜炎患者75例について検討した.発症は30歳から70歳の年齢層に多く,平均45歳で,男女比は2:3であった.片眼性と両眼性の比率はほぼ1:1であり,この両者に重症度の差はなかった.病変は前部強膜で瞼裂に相当する部位に好発し,炎症は1年に1回程度の割合で再発していた.虹彩毛様体炎は片眼性39%,両眼性60%に合併し,その他の併発症は強膜菲薄化5例7眼,強膜ぶどう腫4例5眼,角膜病変6例8眼,眼圧上昇14例16眼,後部強膜炎による眼底病変12例15眼であった.視力の予後の良好なものが多かったが,併発症による重篤な視力低下をきたした例があった.強膜炎の治療にはステロイド剤が有効であるが,効果のあった投与法からみると点眼剤投与を主体として治療できる軽症例と内服の必要な重症例の2群に分かれる傾向があった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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