文献詳細
臨床報告
文献概要
親子に認められた水晶体欠損症を報告した.発端者は7歳女性で,両眼の水晶体下方に欠損があり,右眼の欠損は左眼より大であった.36歳の父親には,右眼の下方に水晶体欠損を認め,左眼水晶体には異常を認めなかった.両者の類似性から,水晶体欠損症の発生には遺伝因子が関与すると考えられた.発端者を3年5カ月間観察し,右弱視を健眼遮蔽にて良好な矯正視力を得ることができたが,この間に乱視度数(水晶体乱視)の変化はみられなかった.しかし,近視度数の急速な進行がみられ,これは,成長に伴う過度な眼軸の延長によるものと考えられた.若年者で,他に器質的病変を持たない水晶体欠損症をみた場合は,長期間の視力経過を追う必要があると思われる.
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