臨床報告
当教室における眼内レンズ挿入術の導入とその成績
著者:
伊東滋雄1
山岸和矢1
中嶋基麿1
伊東良江1
安藤誠1
宇山昌延1
所属機関:
1関西医科大学眼科
ページ範囲:P.1099 - P.1103
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我々の教室では,1985年1月から眼内レンズ挿入術を導入した.導入のはじめに術者教育を行うこととし,当初は天理病院で研修を受けたもの,および同病院へ2カ月間国内留学し,手術研修をうけたものが術者および指導者となり,教室の医師は,嚢外法の経験を十分積んだものが指導者のもとで眼内レンズ挿入術を行った.手術は計画的嚢外法と後房レンズ挿入を行い,86年8月までに,100眼に施行したが,全例に良好な視力を得,重大な合併症を1眼も経験しなかった.適応を明確に定め,術式を統一し,術者を十分訓練したこと,の三つがこの手術の導入に成功した大きな理由と考えられる.適応は少しずつ修正を加えられたが,当初は年齢制限60歳以上とし,現在は50歳以上に緩和された.しかし,ぶどう膜炎などの合併症のある眼には挿入していない.本手術の導入に際して好成績を得るには,術者はまず計画的嚢外法に十分習熟してから行うようにするのが最も重要であると思われた.多数の医師が勤務する施設における新しい手術の導入の過程として我々の経験を報告した.