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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科41巻9号

1987年09月発行

文献概要

臨床報告

糖尿病性網膜症と臨床因子特にHbA1値との相関

著者: 船津英陽1 北野滋彦1 荻原葉子1 溝渕京子1 堀貞夫1 宮川高一2

所属機関: 1東京大学眼科 2立川相互病院内科

ページ範囲:P.1121 - P.1125

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 糖尿病と診断され1年間以上経過観察し得た446名(892眼)を対象に,糖尿病性網膜症と種々の臨床因子との関連を多変量解析法を用い統計学的に推定し,次の結果を得た.
(1)糖尿病罹病期間が長く,インスリン治療歴を有し,HbA1の平均値および年齢の高いものに,糖尿病性網膜症の頻度が高く,網膜症も進行していた.
(2)糖尿病性網膜症の病期変化にはHbA1の平均値が関連性が高く,HbA1の平均値9.53%を境に,それ以上のものでは網膜症の悪化の傾向がみられた.
 これらのことより,糖尿病性網膜症の管理において,糖尿病罹病期間の長いもの,年齢の高いものやインスリン治療歴を有するものでは網膜症の発症に,またHbA1値の高いものでは網膜症の発症および病期変化に十分な注意が必要で,観察期間の間隔にもこれらのことを考慮して治療にあたることが重要であると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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