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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻1号

1988年01月発行

連載 眼の組織・病理アトラス・15

うっ血乳頭

著者: 向野利彦1 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.26 - P.27

文献概要

 視神経乳頭の浮腫性腫大はさまざまな病的状態で見られる.直接的な炎症の波及によるものを除き受動的に生じる乳頭の腫張は乳頭浮腫opticdisc edemaといわれる.そのうちでもとくに頭蓋内圧亢進が明らかにされたものをうっ血乳頭papilledemaと称する(図1).しかし,光学および電子顕微鏡を用いた組織学的検討では,乳頭浮腫とうっ血乳頭は区別できない.
 視神経乳頭の腫張は節状板前部で生じ,とくに乳頭縁で著しい.硝子体側へ突出するとともに側方へも腫大し,乳頭隣接部網膜を圧排する.節状板前部の組織容量の増大により生理的陥凹は狭くなり,圧排された網膜は乳頭縁から偏位し,網膜外層は皺になり,臨床的に網膜皺襞(Paton'sline)として観察できる.錐体杆体も網膜色素上皮から剥離し偏位する.網膜下に浸出液が貯留し限局性網膜剥離が出現することもある(図2).これがうっ血乳頭の視野で早期にみられるマリオット盲点の拡大の一因となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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