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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻1号

1988年01月発行

文献概要

臨床報告

フィブロネクチン点眼剤の臨床効果

著者: 西田輝夫1 八木純平1 大鳥利文1 渡辺潔2 眞鍋禮三2 今釜秀一3 宮田典男3

所属機関: 1近畿大学医学部眼科学教室 2大阪大学医学部眼科学教室 3宮田眼科病院

ページ範囲:P.33 - P.37

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 フィブロネクチン点眼療法が有効な角膜上皮障害の症例を報告してきた.今回フィブロネクチン点眼剤の適応症を明らかにする目的で,過去5年間に大阪大学眼科,近畿大学眼科および宮田眼科において,角膜上皮障害と診断されフィブロネクチン点眼療法を行った302例について,診療録からフィブロネクチン点眼剤の臨床的有効性について検討した.全症例302例中207例(68.5%)においてフィブロネクチン点眼が有効であった.角膜上皮障害の内,遷延性上皮欠損および反復性上皮びらんでは80%以上の症例で有効であった.表層性びまん性角膜炎では約40%の症例にしか効果がなく,上皮浮腫に対しては全く効果が認められなかった.
 原因疾患別には角膜ヘルペス後の潰瘍では84.1%,神経麻痺性潰瘍では100%,白内障摘出術,角膜移植術および外傷後ではそれぞれ87.5,77.1,94.4%にフィブロネクチン点眼が有効であった.フィブロネクチンの臨床効果は濃度に依存する傾向が認められた.副作用は6例,2.1%に認められたのみであり,すべて軽度の眼刺激症状のみであった.
 これらの結果より,角膜ヘルペス,三叉神経障害あるいは白内障摘出術や角膜移植術後などの遷延性角膜上皮欠損が,フィブロネクチン点眼剤の良い適応であると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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