文献詳細
臨床報告
文献概要
1980年1月より1987年6月までの7年半に金沢医科大学眼科外来を受診し,入院加療を要した角膜感染症59例のうち,グラム陰性菌の検出された15例を検討対象とした.15例の平均年齢は65.9歳で,発症原因は7例で明らかで,そのうち異物が4例,コンタクトレンズのトラブルが3例あった.8例に涙嚢炎,人工的無水晶体眼,瘢痕トラコーマ等の眼科的な基礎疾患を認めた.全身的な基礎疾患は9例に認め糖尿病は4例を占めた.分離菌は9種16株検出し,株数ではMorax-ella ep.の4株が最も多く,ブドウ糖非醗酵陰性桿菌が全体の25%を占めた.アミノグリコシド系薬剤とpiperacillin, minocyclineは分離菌に対し薬剤感受性は良好であり,抗生剤の投与方法は結膜下注射,点眼,全身投与を併用した.4例では視力の改善は得られなかった.今回の検討例は平均年齢が高く,眼局所および全身的なpredisposing factorをもつ例が多く,弱毒菌による角膜感染症に関しては,高齢自体が重要なcompromised hostであると考えられた.
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