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臨床報告
YAGレーザーによるCapsulotomy後におこった網膜剥離の1例
著者: 石井好子1 金谷いく子1 溝上國義2
所属機関: 1兵庫県立成人病センター 2神戸大学
ページ範囲:P.1143 - P.1146
文献購入ページに移動今回我々は,後部ぶどう腫を伴う高度近視の後発白内障に対し,Nd:YAG laserによる後嚢切開術を施行した後,黄斑円孔型網膜剥離を発症した1例を経験したので報告した.
症例は,75歳女性.水晶体嚢外摘出術後に後発白内障を来したため,Nd-YAG laserを用いて後嚢切開術を施行した.約1カ月後に突然の視力低下を自覚し来院した.黄斑部に円孔を伴う広範な網膜剥離と,周辺部網膜に裂孔を伴う格子状変性が認められた.硝子体切除術および輪状締結術を施行し,網膜の復位を得ている.
Nd:YAG laserによる後嚢切開術の術後合併症として,眼圧の上昇のみならず,黄斑部類嚢胞浮腫,網膜剥離などの網膜,硝子体の障害も重要である。また,これらの合併症を少なくするためには,必要最小限の出力で照射すると共に,本例のような高度近視に対しては切開を出来るだけ小さくするべきであると考えられた。
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