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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻11号

1988年11月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・25

脈なし病

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学

ページ範囲:P.1212 - P.1213

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 橈骨動脈で脈が触れず,網膜動静脈の花環状吻合がみられる状態を脈なし病pulseless disease,高安病Takayasu's disease,または高安・大西病Takayasu-Ohnishi diseaseという.しかし,橈骨動脈で脈を触れない患者でも必ずしも典型的な眼症状を示すわけではない.最近では,大動脈の狭窄で末梢の乏血症状がみられるものをすべて一括して大動脈炎症候群aortitis syndromeと呼んでいる.脈なし病もその範疇に含まれる.
 大動脈炎症候群は日本人に比較的多くみられ,膠原病など血管炎をもつ20歳代から30歳代の若い女性に発症する.主として大動脈弓の炎症性狭窄が原因で、内頸動脈さらに眼動脈の慢性的な乏血を生じ,初期には眼底周辺部の動静脈吻合や毛細血管瘤の形成などがみられる.病変が進むと,乳頭周囲動静脈花環状吻合,血管新生緑内障,併発白内障などを起こして失明する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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